理学療法士の学生が最初に行う実習が見学実習です。
初めての実習で、
- どんな準備をしたらいいのか?
- どんなことを聞かれるのか?
- 具体的に何を学べばいいのか?
等、悩みがあると思います。
最初の実習なので、緊張しますし、悩みや不安が多くあるのは当然です。
実習で結果を出そうとして、学校で学んだことを復習したりして準備する方もいると思います。
もちろん、事前の準備は必要です。
ですが、見学実習で1番大事なことは
『自分が理学療法士として働きたいかを確認すること』
だと個人的には思っています。
なぜなら、理学療法士になるには高額な費用がかかるからです。
地域や養成校により異なりますが、おおよそ
国公立大学では220万~300万
私立大学では500万~610万
専門学校では375万~540万
必要になると言われています。
2年生以降どんどん授業は難しくなり、実習の難易度も上がります。
理学療法士になりたいという強い意志がないと、毎日が苦痛になります。
2年生や3年生でリタイアすることになると、多額の授業料が全て水の泡となってしまいます。
そのため、この最初の見学実習は
『将来自分がやりたいと決めた仕事をしっかりと見学し、本当にその考えが間違っていないか?』
ということを自分自身に問いかけ、答えを出せるかどうかが重要となります。
この記事では見学実習に必要な心構えと見学するべきポイントを3つに絞って書いています。
この記事を読むと
- どのような心構えで実習を行うべきか?
- どのようなところに注意して見学を行うか?
ということが理解できるようになります。
結果として、見学実習で得られることが多くなり、よりより実習を行うことが出来るようになります。
どの実習でも共通して準備しておいた方がいいポイントという記事もありますので、もし読まれていなければ、先にそちらを読むことをオススメします。
見学実習の心構え
実習前には授業で習ったことを復習したり、資料を集めたりすると思います。
それらの準備をしっかりとしても不十分です。
実習に向けた心構えが必要です。
実習は『知識がない』という理由で落ちることはほとんどありません。
なぜなら、そもそも働いているPTは学生に『知識がある』とは思ってはいないからです。
見学実習なら尚更です。
多くは『態度』・『規則』・『向上心』といった部分を評価されます。
主に気を付けておくべき3つのポイントを紹介します。
社会人としての意識を持つ
学生のうちは、社会人ではないですが、実習先で働いている人はみんな社会人です。
社会人の中で1日を過ごすということを自覚してください。
当たり前のことですが、
- あいさつ
- 身だしなみ
- 言葉遣い
- 時間厳守
- 規則厳守
これはしっかりと守りましょう。
あいさつ
挨拶はすれ違う方全員に実施してください。
特に見学初日は自己紹介を忘れずに。
朝礼で紹介してくれるケースが多くありますが、多くは朝礼前にスタッフと顔を合わせます。
あいさつはしっかりと行いましょう。
身だしなみ
メラビアンの法則をご存知ですか?その法則によると、印象を与える影響は
- 言語情報7%
- 聴覚情報38%
- 視覚情報55%
と言われているようです。さらに第1印象が決まる時間は3~5秒と言われています。3~5秒の間に人を見て、ある程度どんな人か判断されます。
この3~5秒という短い時間で出来ることは限られています。それが身だしなみです。
- 清潔感のある服装か(服装が汚れたり、皺がよっていないか)
- だらしのない髪形にしていないか
- 爪が伸びていないか
- 背中が丸くなっていないか
- 暗い表情になっていないか
- キョロキョロしていないか
このあたりは常に自身でチェックしておきましょう。
『人は見た目で判断してはいけない』
と思われる方もいるかと思いますが、それは自身の考えであって他人がそのような考えとは限りません。
印象を決めるのは自分ではなく、相手だということを忘れないでください。
言葉遣い
実習で会話する方はほぼ目上の方です。友達感覚で話すのはやめましょう。
特にご高齢な方に対して敬語ではなく、少し崩れた話し方をする人がいます。
ご高齢な方は人生の先輩であり、敬意を払うべき存在です。丁寧な言葉遣いを心掛けましょう。
- 声の大きさ
- 話す速さ
- 声のトーン
に気を付けてください。
声が小さいと聞こえにくいですし、話す速度が速くても聞き取りにくいです。
話す前に「あー」「えー」という言葉を使用する方もいますが、極力やめましょう。
印象を良くするポイントとして、話す前に名前をつけてみてください。
例えば、体調をうかがうときは、
「今日の体調はいかがですか?」
「〇〇さん、今日の体調はいかがですか?」
と名前をつけるように心掛けてみてください。
時間厳守
遅刻には気を付けましょう。時間を守れない方は本当に信用されなくなります。
実習中にも「〇〇時になったら、〇〇に来て」と言われることがあります。これも指定された時間よりも早めに到着しておきましょう。
規則厳守
病院にはそれぞれルールがあります。それは病院ごとに違います。
そのルールはしっかりと守りましょう。学生であっても、実習中はその病院メンバーの一員です。
「学生だからいいか」
なんて思わないようにしてください。
少しでも迷ったことがあれば、必ずバイザーやスタッフに聞くようにしましょう。
向上心をしっかりと持つ
学生はわからないことが多くて当然です。
わからないことを気にする必要はありません。
ですが、わからないことをそのままにしておくことは絶対に避けてください。
わからないことはしっかりと質問するようにしてください。
見学だけして、何も質問しないと
この学生は学ぶ気があるのかな?
と思われる可能性もあります。
たまに学生が、
何も教えてくれない。
と言われることがあります。
何も教えないPTも悪いですが、何も質問や行動をしない学生にも問題があります。
全てを他人のせいにするのは辞めましょう。
主体的に動くことが大事です。
ベストセラーの「7つの習慣」のスティーブン・コヴィは次のような言葉を残しています。
主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。
責任(responsibility)とは、反応(response)を選べる能力(ability)である。主体性のある人は、このレスポンシビリティを意識している。自分の行動に責任を持ち、状況や条件づけのせいにしない。
出典:スティーブン・R・コヴィー
少しでも疑問に思ったことはしっかりと質問するようにしましょう。
これは向上心をみせるためとかではなく、自分のためです。
『臨床実習における学生の積極性を規定する因子ついて』という内容のポスター発表をみつけたので、リンク貼っておきます。気になる方は確認してください。
この調査では、『積極性のない』行動を……
- 実習への目的意識や意欲・関心が低い
- 実習を受ける態度が悪い
- 問いかけに対する反応が悪い
- 対象者や関係スタッフ以外の方と関わらない
- わからないことがあっても質問しない
- 自分の意見を述べない
- 自分の考えを元に行動できなく、指導者からの指示待ち行動をとる
- 課題ができない
多くは、実習の取り組み姿勢や態度を評価しているということですね。
知識だけではなく、このような心構えが出来ているか評価されるようです。
(ちなみに私もそうです)
周りをしっかりと観る
より意識していないと出来ないポイントです。
リハビリの見学をしている最中に集中しすぎて、他の患者様やスタッフの邪魔になるケースがあります。
見学する許可をもらったら、邪魔にならない位置で見学しましょう。
注意点として、患者様やスタッフは移動します(あたり前ですが・・・)
そうすると、見学している位置が邪魔になるケースもあります。きちんと周りを見て臨機応変に移動しましょう。
特に注意なのが、見学中に無意識に後方に1歩下がってしまうケースがあります。その際、後ろを患者様が歩行していると接触してしまいます。
今いるところから動く際は周りを確認することを意識しておきましょう。
見学するべきポイント
心構えが理解できたら、次は見学するポイントです。
ここでは3つのポイントを記載しています。
社会人としてのマナー
さきほど実習の心構えを説明しましたが、実際に理解できていても実行できないこともあると思います。
ですが、実習先でいる方々は社会人です。お手本でいっぱいです。
リハビリだけでなく、スタッフ間や患者様とのやりとりをしっかりと見学しておきましょう。
しかし、残念ながらお手本にならないような方もいます。ですが、しっかりと見学していると、
この人は礼儀正しいな。
と思う方が1人はいるはずです。
そういう方を見つけたら、積極的に見学しましょう。
あいさつ
あいさつが出来ているかどうか、だけでなく、その時の態度に注意してみましょう。
- 顔の表情
- 声の大きさ
- 目線
- 姿勢
このような点をチェックしてみましょう。
見だしなみ
リハビリスタッフはみんな同じ服を着ています。
ですが、着こなしの良い人がいます。
- ボタンが外れていないか
- 服が汚れていないか(特に足の裾の部分)
- 寝ぐせ等がないか
- 爪が長くないか
このような点をチェックしましょう。
着こなしの良い人は本当にキレイなので、すぐにわかります。
逆に、着こなしの悪い人もすぐにわかります。
電話対応
電話には内線と外線があります。
『内線』とは、病院内から病院内にかかってくる電話です(例えば、病棟からリハビリ室等)
『外線』とは、他の病院や業者から病院にかかってくる電話です。
それぞれ、内線と外線では取った後の話し方が変わります。
どのような言葉遣いで対応しているか確認しておきましょう。
規則遵守
働いているスタッフがきちんとルールを守っているか確認しておきましょう。
遅刻はしていませんが、朝礼の時間に後からスッと入ってきたりするスタッフもいます。
マネしないように気をつけてください(笑)
患者様への気配り
リハビリ中にどのような気配りをしているのか注意して観察しておきましょう。
この気配りは本当に差が出ます!!
きちんと出来ている人をお手本にしましょう。
言葉遣いや態度
- 敬語を使用しているか
- 目線の高さを合わせて話しをしているか
- 面倒くさい感じを出していないか
この点を確認してみましょう。
ドアの開閉やノック等の所作
- 部屋に入る際にノックをしているか
- ドアの開閉をゆっくりとしているか
- カーテンの場合は開ける前に、あいさつと開けてもいいか確認しているか
- カーテンの開閉をゆっくりとしているか
この点を確認してみましょう。
入院中であれ、ベッド周りはプライベート空間です。着替えている可能性もあるので、確認を必ずしてください。
他職種との連携
医師・看護師・介護士・ソーシャルワーカー等、他職種とどのように連携しているか見学しておきましょう。
PTは基本夜勤はありません。患者様の夜間の様子を直接把握することが難しいです。
ですが、看護師や介護士の方は夜勤があり、患者様の夜間の様子を把握しています。
食事の摂取状況なども詳しく知っています。
チーム医療とはどのようなものなのか、しっかりと見学しておきましょう。
まとめ
見学実習は患者様に直接触れて、評価・治療を行うことが目的ではありません。
社会人としての態度やPTの役割を学ぶことにあります。
社会人としてのマナーを守り、向上心を持っていれば、まず問題ありません。
そして、見学実習を通して自分が
『本当にこの仕事をやりたいのか』
ということを確認してください。
この記事を読んで頂いた方は見学実習が近いと思います。
参考にして頂き、実習で多くのことを学んでください。
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